◆ VLANとは
VLAN( Virtual LAN )とは、物理的な接続形態とは独立して、仮想的なLANセグメントを作る技術です。
VLANはスイッチ内部で論理的にLANセグメントを分割するために使用されます。VLANを使用することで
ルータやL3スイッチと同じようにL2スイッチでもブロードキャストドメインの分割を行うことができます。
スイッチのポートにVLANの識別番号となるVLAN IDを設定することで、その番号ごとにブロードキャストドメインを分割できます。
◆ VLANの特徴
1. ブロードキャストドメインの分割
ホストAとBが通信するために、ホストAはARPリクエストをブロードキャストする必要があります。結果、
左下図の通り、そのブロードキャストはホストBだけでなくC、Dも受け取ります。しかし、VLANにより
ブロードキャストドメインを分割することで、右下図の通り、ホストAからのブロードキャストはBだけが
受信するようになり、無駄な受信フレームが減ることで、各ホストの無駄なCPU処理などを軽減できます。
2. 物理配置にとらわれないセグメント化
VLANは複数のスイッチにまたがり設定することが可能で、これにより異なるフロアーのスイッチ間の
接続でもブロードキャストを分割できます。下図では、10F営業部からのトラフィックは、15F営業部
だけに転送されて、10F技術部からのトラフィックは15F技術部だけに転送されます。また、部署変更や
部署移動が発生してもスイッチポートに設定したVLAN IDを変更するだけで柔軟にセグメント化が可能。
3. セキュリティの向上
VLANを設定すると同じVLAN IDのポートにのみブロードキャストが転送され、異なるVLAN IDのポートに
転送されません。下図ではVLAN10のスイッチポートに接続したホストとVLAN20に接続したホストに同じ
セグメント192.168.1.0/24のIPアドレスを設定しています。しかし、営業部からのPCのブロードキャスト
トラフィックは技術部には転送されないので、同じセグメントのIPアドレスでもVLAN IDが異なるので通信
できません。このようにVLAN ID単位でトラフィックを分離することができるのでNWセキュリティが向上。
◆ Cisco Catalystスイッチの用語
1. デフォルトVLANとは
Catalystスイッチは、工場出荷時のデフォルト状態では全てのスイッチポートでVLAN 1が設定されています。
CatalystスイッチのVLAN 1はデフォルトVLANと呼ばれています。各ポートにVLAN 1が設定されていますが
全ポートで同じVLAN IDが割り当てられているため初期状態では1つのブロードキャストドメインとなります。
※ Catalystスイッチでは、VLAN 1 以外にデフォルトで(初期状態で)以下のVLAN IDが作成されています。
・ VLAN 1002 ・・・ fddi-default
・ VLAN 1003 ・・・ token-ring-default
・ VLAN 1004 ・・・ fddinet-default
・ VLAN 1005 ・・・ trnet-default
2. 管理VLANとは
管理VLANとは、Catalystスイッチを管理するための管理用トラフィックを流すVLANのこと。デフォルトで
VLAN 1が管理VLANに設定されています。管理VLAN用に用意された管理インターフェースにIPアドレスを
割り当てることにより、Catalystスイッチに対しtelnetアクセスしたりSNMPにより監視することができます。
◆ スイッチのIPアドレス割り当て設定
(config)# interface vlan vlan-id
(config-if)# ip address ip-address subnet-mask
(config-if)# no shutdown
コマンド引数 |
説明 |
vlan-id |
管理VLANのIDを指定 |
ip-address |
IPアドレスを指定 |
subnet-mask |
サブネットマスクを指定 |
※ 管理VLANはスイッチで1つだけ存在するVLANですが、この管理VLANはVLAN 1から他のVLAN IDに変更することが可能。
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