◆ サブインターフェースを使用したVLANルーティングの設定
@ サブインターフェースの作成
先ずルータでサブインターフェースを作成します。インターフェースコマンドで物理インターフェースの
物理ポート番号の後にピリオド ( . ) と論理番号を設定します。論理番号の数字に意味はなく何番でもOK。
ただし一般的には分かりやすさの観点から、論理番号の値とVLAN IDの値を同じにしておくことが多いです。
◆ サブインターフェースの作成
(config)# interface interface-type.subinterface-number
コマンド引数 |
説明 |
interface-type |
物理インターフェースのタイプと番号を指定
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subinterface-number |
サブインターフェースの論理番号の指定
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設定例 |
(config)# interface FastEthernet0/0.1 ← Fa0/0 に論理番号 1 を付けたサブインターフェース
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A カプセル化タイプの指定、VLAN IDの指定
次に作成したサブインターフェースで使用するカプセル化とVLAN IDを指定します。カプセル化タイプには
isl と dot1q があります。ここで設定するVLAN IDは、スイッチ上で設定しているVLAN IDに合わせます。
◆ カプセル化タイプとVLAN IDの指定
(config-subif)# encapsulation [ isl | dot1q ] vlan-id | native
コマンド引数 |
説明 |
isl |
ルータの物理ポートと接続するスイッチポートで、トランキングプロトコルがISLの場合に指定。
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dot1q |
ルータの物理ポートと接続するスイッチポートで、トランキングプロトコルがIEEE802.1Qの場合に指定。
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vlan-id |
スイッチ上で設定しているVLAN IDと同じ値に指定。
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native |
スイッチ上で設定しているVLAN IDがネイティブVLANの場合に指定。(dot1qの時に使用するコマンド) |
設定例 |
(config-subif)# encapsulation dot1q 10 ← カプセル化をIEEE802.1Q、VLAN IDを10 に指定。 |
B IPアドレッシングの設定
最後に、作成したサブインターフェースにIPアドレスの設定を行います。
◆ IPアドレッシングの設定
(config-subif)# ip address ip-address subnet-mask
コマンド引数 |
説明 |
ip-address |
作成したサブインターフェースに対して設定するIPアドレス
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subnet-mask |
作成したサブインターフェースに対して設定するサブネットマスク |
設定例 |
(config-subif)# ip address 192.168.10.254 255.255.255.0 |
◆ サブインターフェースの設定例(ISLの場合)
トランクリンクがISLの場合、ネイティブVLANの概念はなく、全てのVLANに対してタグ付けを行います。
従って、ISLの場合は native キーワードは使用しません。設定例とコンフィグは以下の通りとなります。
Router(config) # interface FastEthernet0/0.1
Router(config-subif) # encapsulation isl 1
Router(config-subif) # ip address 192.168.1.254 255.255.255.0
Router(config) # interface FastEthernet0/0.2
Router(config-subif) # encapsulation isl 2
Router(config-subif) # ip address 192.168.2.254 255.255.255.0
Router(config) # interface FastEthernet0/0.3
Router(config-subif) # encapsulation isl 3
Router(config-subif) # ip address 192.168.3.254 255.255.255.0
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Switch(config) # interface FastEthernet0/24
Switch(config-if) # switchport trunk encapsulation isl
Switch(config-if) # switchport mode trunk
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◆ サブインターフェースの設定例(IEEE802.1Q の場合)
トランクリンクがIEEE802.1Qの場合、ネイティブVLANに対してはnativeキーワードを定義する必要が
あります。下図はネイティブVLANが 1 の前提とします。設定例とコンフィグは以下の通りとなります。
Router(config) # interface FastEthernet0/0.1
Router(config-subif) # encapsulation dot1q 1 native
Router(config-subif) # ip address 192.168.1.254 255.255.255.0
Router(config) # interface FastEthernet0/0.2
Router(config-subif) # encapsulation dot1q 2
Router(config-subif) # ip address 192.168.2.254 255.255.255.0
Router(config) # interface FastEthernet0/0.3
Router(config-subif) # encapsulation dot1q 3
Router(config-subif) # ip address 192.168.3.254 255.255.255.0
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Switch(config) # interface FastEthernet0/24
Switch(config-if) # switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if) # switchport mode trunk
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トランクリンクにIEEE802.1Qを使用する場合は、ルータの物理インターフェースをネイティブVLANと
して使用することができます。当然、その他のVLANはサブインターフェースを使用する必要があります。
上記と下記コンフィグは同じ内容、同じ動作となりますが、下記の設定は一般的な設定ではありません。
Router(config) # interface FastEthernet0/0
Router(config-if) # ip address 192.168.1.254 255.255.255.0
Router(config) # interface FastEthernet0/0.2
Router(config-subif) # encapsulation dot1q 2
Router(config-subif) # ip address 192.168.2.254 255.255.255.0
Router(config) # interface FastEthernet0/0.3
Router(config-subif) # encapsulation dot1q 3
Router(config-subif) # ip address 192.168.3.254 255.255.255.0
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Switch(config) # interface FastEthernet0/24
Switch(config-if) # switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if) # switchport mode trunk
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◆ トラフィックの流れを理解しましょう!
@ 正常時、端末A、B、C、Dの間で通信できます。つまりVLAN1〜VLAN3間で通信可能です。
A 正常時でも、端末Eはどの端末とも通信できません。端末Eが他の端末と通信するためには
ルータのFa0/0上でサブI/Fを作成して、VLANルーティングできるようにする必要があります。
B SW Aがダウンした場合には、全ての端末( A、B、C、D )の間で通信できなくなります。
C ルータ、またはルータのFa0/0がダウンした場合には、VLAN間の通信はできなくなります。
ただし、VLAN内の通信については可能なので、端末BとCとの間は通信することができます。
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