◆ WANとは
WAN(Wide Area Network)とは、NTTなどの電気通信事業者が提供するWANサービスを利用して、
本社 ⇔ 支社間など地理的に離れた拠点のLANを相互に接続するネットワークのことです。企業などは
複数のWANサービスから回線品質やコスト等を考慮した上で最適なWANサービスを選択し契約します。
つまり企業がネットワーク機器を所有して設計/構築するLANと異なり、WANでは利用料が発生します。
電気通信事業者(キャリア)は高品質なサービスを提供するためSLA(Service Level Agreement)を
定めています。SLA(サービス品質保証制度)はサービス品質のキャリアと利用者との間の合意のこと。
具体的には、WANでのIPパケットの往復転送時間が月間平均値で10msを超えた場合や、障害発生時の
故障回復までの遅延が1時間以上発生した場合に、企業に利用料金の一部を返還する合意のことです。
◆ WANサービスの種類
WANサービスには、従来から存在するアナログ専用線、デジタル専用線、ISDN、フレームリレー
ATM(セルリレー)や最近主流な広域イーサネット、IP-VPN、インターネットVPNなどがあります。
なお、個人やSOHOがインターネットアクセス、または企業ネットワークへのアクセスを行う際に使用
するアクセス回線については、アナログ回線、ISDN、ADSL、FTTHなどの接続サービスがあります。
WANプロトコルには、フレームリレー、ATM、HDLC、PPPなどがありますが、これらのプロトコルは
データリンク層(Layer2)で動作します。これらのWANインターフェースはシリアルインターフェース
を使用します。一方、広域イーサネットはEthernetなのでデータリンク層で動作しますが、LAN同様に
EthernetポートをONUに直接接続できます。IP-VPNはIPなのでネットワーク層(Layer3)で動作します。
IPを認識できるインターフェースなら、キャリアのサービスに合わせてどのようなI/Fでも接続できます。
※ デジタル専用線 (64Kbps〜数十Gbps) は通信に利用するプロトコルの制限がないためWANに色々なプロトコルを使用可能。
◆ 現在主流なWANサービスの名称
なお、インターネットVPNのWANサービスはキャリアのVPN機器 (設定済み) のレンタルとなりますので
IPsec等の専門的な技術を知らなくても導入できます。たしかに安価に導入できますが、設定変更などの
柔軟性が乏しい(その都度費用発生)、自社で管理しにくいという観点から一般的には企業にBフレッツ
などのアクセス回線を契約してもらい、企業が所有するルータにベンダーがIPsecを実装させて、自前で
インターネットVPNを構築してWANにするケースが多いことでしょう。
◆ 現在のサービス名
キャリア |
WANサービス |
IP-VPN ( MPLS-VPN ) |
広域イーサネット |
インターネットVPN (IPsec-VPN) |
NTTコミュニケーションズ |
Arcstar Universal One L3 |
Arcstar Universal One L2 |
OCNビジネスパックVPN |
KDDI |
Wide Area Virtual Switch L3 |
Wide Area Virtual Switch L3 |
マネージドサービス |
◆ 以前のサービス名
キャリア |
WANサービス |
IP-VPN ( MPLS-VPN ) |
広域イーサネット |
インターネットVPN (IPsec-VPN) |
NTTコミュニケーションズ |
Arcstar IP-VPN |
e-VLAN |
OCNビジネスパックVPN |
KDDI |
KDDI IP-VPN |
Powered Ethernet |
マネージドサービス |
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