APとWLC間でやりとりされているCAPWAPプロトコルは以下のLWAPPプロトコルを基に開発されました。
従って、以下解説の「LWAPP」をそのまま「CAPWAP」に置き換えて理解して頂いて概ね問題ありません。
◆ LWAPP - 無線LAN通信ができる状態までのフロー( 詳細 )
LWAPPの概要 (LWAPP - 無線LAN通信ができる状態までのフロー) のAPの遷移状態に焦点をあてます。
LWAPPではAPとWLCの状態を Discovery、Join、Image Data、Config、Run、Reset で定義しています。
APの状態遷移 |
Discovery |
APがWLCを探索している状態 |
Join |
APがWLCとセキュアな接続をしている状態 ( LWAPPトンネルを構築している状態 ) |
Config |
APがWLCから設定情報をダウンロードしている状態 |
Run |
APが正常に稼働して、WLAN端末に対して無線サービスを提供している状態 |
Image Data |
APがWLCからOSをダウンロードしている状態 |
Reset |
APがステートを初期化して初期状態にもどるステータス |
次に、APの遷移状態の1つである Discovery の詳細を見ていきましょう。APがWLCを探索する手順、つまり
APがWLCのIPアドレスを取得する手順は以下のとおりです。以下の探索手順はL3 LWAPPにおける順序です。
L3 LWAPP Controller Discovery ( = APの状態遷移の1つである Discovery の詳細 ) |
探索手順 1 |
CLI コマンドでコントローラのIPをスタティックに設定 |
探索手順 2 |
ローカルサブネット内でのLWAPP Discovery Request Broadcast |
探索手順 3 |
OTAP ( Over-the-Air Provisioning ) による無線経由 |
探索手順 4 |
DHCP vendor specific option 43 ( IPアドレスはManagement InterfaceのIP ) |
探索手順 5 |
Cisco-LWAPP-Controller.localdomainにおけるDNS解決 ( Management InterfaceのIPへの解決
) |
探索手順 6 |
1 から 6 の探索手順でもWLCが見つからない場合、1 へ戻る |
次に、複数の候補のWLCがある場合におけるWLCの選定基準(WLAN Controller Selection Alogorithm)を
見てきましょう。APは下記の選定基準に従い、LWAPP Join Requestを送信するコントローラを選択します。
下記の選定基準のための情報は先ほどWLCから受信したLWAPP Discovery Responseの中に含まれています。
WLAN Controller Selection Alogorithm ( = APがJoinするコントローラの選定 ) |
選定基準 1 |
APに対してプライマリ、セカンダリ、ターシャリコントローラが設定されている場合、APは最初に
この情報に基づいてLWAPPJoin Requestを送信する。sysNameにこれらの情報が格納されている。 |
選定基準 2 |
Master Controller fieldが設定されているWLANコントローラにLWAPP Join Requestを送信する。
Master Contollerフラグにこの情報が格納されている。 |
選定基準 3 |
最もキャパシティに余裕のあるWLANコントローラにLWAPP Join Requestを送信する。
コントローラのAPキャパシティにこの情報が格納されている。 |
APがLWAPP Join Requestを送信後、LWAPP Join Responseを受信できるとLWAPPトンネルが形成します。
LWAPPトンネルが形成されると、APはWLCが保持しているファームウェアのversionを比較して自身の保持
するファームウェアのversionと違いあればWLCからIOSをダウンロードして次にコンフィグをダウンロード。
これによりAPは無線LANサービス提供可能な状態となり、WLAN端末との無線LAN通信の手順が始まります。
以上により無線LAN通信ができる状態になり、LWAPP制御メッセージのやりとりは一度は終了しますが
WLCは定期的にLWAPP Control messageによりAPから統計値(RRM, アラーム, レポートで使用)を確認
します。また、APはWLCに定期的に(30秒ごと)LWAPP Heartbeat Control messageを送信しています。
LWAPP Heartbeast controll message を受信したWLCはAPへ LWAPP Acknowledgement を送信します。
APがAckを受信できない場合、APは1秒間隔で5回まで
Heartbeatを再送信し、この5回のリトライでもAckを
受信できなかった場合、APはWLCに障害が発生したと
判断して、IPアドレスをrelease/renewで別のWLCを
探索し始めます。
ちなみにこのLWAPP Heartbeat Control messageの
30秒間隔のタイマーを短くすることで切り替わりが
早くなります。設定コマンドは以下の通りとなります。
⇒ config advanced timers ap-heartbeat-timeout
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